一触即発!KYCオータムレガッタ2025

good memories

今年のKYC Autumn Regattaは10/11-13の3日間でIRCクラスの参加艇7艇、KYC-Ratingクラス9艇で4レース行われました。

HPR40軍団の参加チームは、多数の国内トップセイラーが乗り込むSLED、まだまだ粗削りな若武者SORI、そして我々MART SPIRITのHPR40クラスが3艇とX35、Melges32、24などのスピードボート全7艇の参加と少数精鋭となりましたがHPR40クラス3艇は今回もバチバチでタフなレースの連続となりました。

楽しみなレースを期待しておりましたが天気はというと・・・

台風の影響で10月とは思えないほど気温が高く短パンTシャツでのセイリングになるほどでした。雨の時以外は。。おかげで軽風シリーズとなり神経を尖らせた繊細なレースが続いてもうへとへとです。。

photo by KYC Carkeek対Botinのスペシャルボート対決

初日

朝からあいにくの曇り空。。。長い風待ちから始まりました。

風待ちの間も360°いろんな方向からそよっと入りすぐ消えてを繰り返す不安定な風。

Race : 1Race Start 2025/10/11 14:05:00
Course Length : 5.2 miles Wind Angle : 35 deg to 65 deg
Class : IRC Wind Speed : 5.0 kt to 12.0 kt(←ホントに12kt?)

1レース目

北東のシフティーな風で1.3マイル。

リグは8ktにセット。J1.5、A1をチョイス。静かにスタートシークエンスが始まる。

スタート前に右からパフが入り始めたが、コース的には左海面をキープしたかったのでHPRフリートに対しアウターサイドからスタート。トリムアップ/スピードビルドがよくグッドスタート!

ヘダーが入ってSORI、SLED、MARTの順でタック。風はパフとともに10度程度のシフトを繰り返す。Portタックで軽風のスピード競争。一段高い我々が先にソリッドなパフを受ける。そのタイミングの度にドライブモードで頭を出す。シフトバックで先にSORIが返す。我々はさらに次のパフまで我慢。そしてタック。ほぼ同じタイミングでSLEDもタック。アンダーレイ。

他艇のポジション、風に対してモードを切り替えながらしばらく並走。

そのまま上マークをMART、SLED、SORIの順で回航。

前方には風がなさそうなので風があるうちにジャイブ。ほぼ同時にSLEDもジャイブ。SORIはSTBストレッチ。

ダウンウィンドで上手くパフを掴めたのでリードを増やしテイクダウン!

あとは無難にカバーリングで幸先よくファーストホーム!初日は時間切れとなりハーバーバック

2日目

2レース目

この日は新西宮ヨットハーバー30周年記念オープンヨットレースと併催で大三角形2周。

朝から風弱し。天気もどんより。雨雲がちらほらといつ降り出してもおかしくない状況。

風向風速を考慮してレース前にA0でテスティング。相変わらずすげ~はえ~。

しかしレースコースのアングルでは出番が微妙な感じ。

スタート前、風は相変わらず不安定。風に対してはスタートラインはアウターサイドが高いがパフでシフトをすることを考慮するとポートタックで頭を出しておいた方が「オプションが増えそうだ」ということでHPRフリートの真ん中から出て即タック。

スタート時タック前のスピードビルドが上手くできポートで頭を出す!よっしゃ!しかし。。。。

パフとともに雨がーーー

怪しかったので僕はカッパを着ていたけどみんな短パンTシャツ!苦笑

この日はみんなのカッパもチェイスではなくオンボードで積んでいたので「濡れないうちに着てきな」と声かけしましたが周りはみな「欲しがりません勝つまでは」と言わんばかりにボートバランスに集中している。なんともたくましいチームだ。

風の強弱は激しくなってきた。相変わらず雨とともに風が変化する。

スタートしてヘダーが続きシフトしてるため次のレグで天下の宝刀A0ホイストに備えてGet Ready!しかしBマーク付近でまたリフトし次のレグもクローズホールドということでA0キャンセル!次のレグはSTBタックのクローズホールド。

MART、SLED、SORIの順番で回航し一番先にSLEDがタック。と同時にMARTもタック。SORIは沖の風を拾いに少し伸ばしてタック。全艇STBタックのスピード競争。我々はドライブモードでストロングポジションを形成しSLEDがそれを嫌ってタック。パフを待って我々もタック。

SORIとSLEDがミートしてSORIが前を通りSLEDは沖のプレッシャーをとりに。

我々もフリートに合わせてルーズカバー、SORIの前でタック。

降りしきる雨の中神経戦が続く。雨の影響で視界が悪い。

やっとCマークが見えてきた。そして風がさらに不安定。とにかく止めないようにセイルトリム、ヒールアングルに集中。

Cマークを回航、A1でスケーティング。横からの雨なのでいくらか気持ちがやわらいだ。

Northsails Japanデザインのジェネカーは本当に速い!

ここで細かな仕様の話をしましょう。

まず我々はHPRフリートの中でレーティング順で2、3番目なので風上マーク回航が2番手回航になることが多い。その為に先行艇に対して次のジャイブでゲインできるようにAWAターゲットを少し低く走れるデザインにリクエストしている。

次に我々の艇はフリート内で一番小さなプライマリーウィンチなのでホイストスピード勝負で負けてしまうことが多い。そのためヘッドヤーンをスリムにしてホイスト時の摩擦抵抗を減らしているがヤーンがスリムな分、ヤーン作業は大変であるが日本一のミッドバウ塚田は短時間でそれをこなす。またヘッドジップもセクションで分けてもし間に合わなくてもトップセクションだけは終わっているということもできる。

またストリンガーラインパッチの位置もセイルによって変えていて例えばA1のようにスケーティングさせるセイルはパッチの位置はラフ側にあり、テイクダウン時パッチがフォアステイをかわし一気にズボっっと入るように工夫してある。ノーバウダウンでテイクダウンできるためスピードを維持したまま次のアップウィンドに入ることができチャンスが生まれやすい。

細かい話をすればきりがないが改善できることはすべてリクエストしてそれに応えていただいている。

そんなこんなでAマークへ戻ってきた。リードを増やし回航。

風が左に振ったのでBマークへはクローズリーチ、ジブを外取りでビシッとリーチが決まりスピードアップ!あっという間にBマーク回航、Cマークへぶるぶると震えながらクローズホールド。

長く感じる。。雨は嫌いだ。N大時代から雨の日は出艇禁止を守ってきてるのにw

という感じで最後まで集中しファーストホーム!よっしゃ!速攻エンジンまわしてハーバーバック!

photo by KYC ファーストホーム!さみーから速攻あがろっの図

この日はオープンレースということもあり街をあげた盛大なパーティでキッチンカーも出店するなどいつもより活気のある新西宮ヨットハーバーでした。夕方には目の前で花火もあがりましたし。

photo by KYC なんかオープヨットレースの方がカップが立派だなぁ笑

最終日

3レース目 

Race : 3Race Start 2025/10/13 12:30:00

Course Length : 4.8 miles Wind Angle : 340 deg to 10 deg
Class : IRC Wind Speed : 6.0 kt to 12.0 kt

朝からずーっと風待ち。。。

風待ちの間も360°いろんな方向からそよっと入りすぐ消えてを繰り返す不安定な風。

昼過ぎに雨雲とともに20ktオーバーの風が入り急ピッチでレース準備。

まずセイルのトランスファー、リグチューン、Aセイルコネクトなどなど大忙し。

VHFでスタート時間がアナウンスされてラインワークも大急ぎ。まるで中華の厨房のごとくw

リグは20ktにセットしたが風も落ち着いてきたのでリグを16ktまで落とす。

センサーがまだ治ってないのでフォアステイレングスもわざわざ実測して油圧シリンダーをポンピングするという実に不便なこと。結局リグは16kt設定でJ2、J2.5、J3、A1.5、A2をオンボード。

セイルチョイスはJ2.5とA2。

スタート1分前から急激に風速が落ちはじめHPR3艇は出遅れスタート。

本部船サイドからSORI、SLED、MARTの順でスタート。

レース展開は1レース目と同じ感じでパフ/シフトを上手くつかんでフロントをキープ。

どんどん風が落ち12ktアンダーになり上マーク手前でジェネカープリセットをA2からA1.5にチェンジ。間に合うか?

見事間に合ってそのままトップ回航でA1.5をホイスト!

SLED、SORIがテールtoノーズで回航。

SLEDとSORIがバチバチのレースをしているがホイストでSLEDがググっと前にでる。

我々はスピンステイスルをおろしているためにステイスルを張っているSLEDに対して落として走ることが出来ない。しかも内航船がレースコースを横断し避けるために大きくヘッドアップ。

一気に追いつかれてしまった。ダウンウィンド中にJ2.5からJ2にチェンジ完了。

photo by KYC 激追いつかれの図

下マーク回航。同じようにカバーリングしつつ風に翻弄されないようにパフ/シフトに集中し無難に走り切りファーストホーム!よっしゃー!

あ、R旗が揚がってる。※次のレースあり

よし、次のレースに備えよう。まずは飲食料をチェイスボートから受取、セイルをトランスファー。次のスタートまで時間がありそうなのでしっかりと風を見極めます。

最終レースのスタート時間がVHFでアナウンスされたのでリグチューン、セイルトランスファー、ラインワーク。

最終レース 

Race : 4Race Start 2025/10/13 13:50:00

Course Length : 4.8 miles Wind Angle : 340 deg to 10 deg
Class : IRC Wind Speed : 7.0 kt to 12.0 kt

リグは10kt、J1.5、J2、S/S、A1、A1.5をオンボード。

セイルチョイスはJ1.5、A1をセット

さあ、泣いても笑っても最終レース

会心のスタートを切りますがファーストシフトを逃しさらに逆シフトに対応しきれずにSLEDに大量リードを許すかたちに。

我々は最善を尽くすが全く及ばずズルズルとレースコースを周回。

しかしドラマは最終レグで待っていた。

なんと先行しているSLEDがフィニッシュへのアプローチジャイブでミスってジャイブバックしている。なんか起きてるな。どんどんオーバーランしているのが見える。

まさかマークロストしているのか??あとから聞いたところジャイブ時ジェネカーシートが潜ってしまってジャイブできなかったとのこと)

我々はレイラインでジャイブ。SLEDもジャイブ、リーチング→ジブアップでクローズリーチ。

ビッグチャンス!!

我々が秒差でフィニッシュ!

よっしゃー!全レースファーストホーム!

「ヨットレースは最後まであきらめてはいけない」今回も身をもって経験しました。

今回の勝因はボートスピードにあります。

やはりいいセイルを使いこなしボートバランス、マニューバをこなせるいいセイラーが乗っているというところに長けているのだと自負しております。

また土井オーナーはじめベテランから若手までが一つになってレースクルー、チェイスチームが役割を全うしたからで特に最終日の急激なコンディション変化でのチェイスワークは明らかに勝利に貢献したと実感しました。(結果的にそのままでよかったじゃんとは言わないで♡)

photo by KYC 全員でパチリ 達成感に満ちたいい笑顔です

さあ、また次のレースへ向けて準備をはじめます。

IRCクラス

優勝 MART SPIRIT  1-1-1-2 5点

2位 SLED     2-3-3-3.5 12.5点

3位 SORI      4-2-4-3.5 14.5点

4位 FIVE STAR  6-7-2-1 15点

5位 A&A    3-4-5-6 16点

6位 AMANDA   7-5-6-5 23点

photo by KYC 準優勝のSLED
photo by KYC 3位のSORI

タイトルとURLをコピーしました