第36回初島ダブルハンドヨットレースが73艇146名のセイラーが集まりA~F、全6クラスに分けて開催されました。
今回もKLC HORIZON 6で参加させていただき、いつも通りレースを想定してレース準備♪
今年は梅雨前線の影響により予報がコロコロ変わり難しかったですね。結局当日も早朝から大雨、どっちに転がっても大丈夫なように準備を進めました。
ドックアウト前は雨が降り少し肌寒くシーブリーズも期待できないかなと予想。今回もキーポイントは何時まで吹き続けるか、どこで風がなくなり、南っ気(サーマル現象がはじまり)が入ってくるかの判断が非常に難しかったですね。
スタート前は予報通り北っ気の風で軽風ですが案外プレッシャー(風圧)があるのでアウター側からスタートすることに。予告信号を確認しポートでライン上をメインだけで流しながらジェネカーA1.5をプリセット。スタート3分前にジブアップ。アウターマーク付近でスピードコントロール、1:30前にSTBへタックしてアウターマークに向けてスピードコントロール。一分前に上から同クラスがオーバーラップするがダブルハンドなので無理はせず(ルールの主張はせず)、ぶつからないようにスペースを確保しつつピンエンドからロケットスタート!
スムーズにジェネカーホイスト!セット!ジブダウン!
すぐにフリートをリードする形でフリート全体の動向を伺いました。
周りはFクラス、Eクラスの艇ばかりですが風速がアベレージで10ノット以上になってくるとみるみるうちに離されてしまいます。
水深が500メートルから1000メートルへぐっと深くなるところで鳥山発見。潮の流れが変わるかな?と思っていた矢先に
なんと!!体長10メートルぐらいのクジラが目の前に!!
やべっ!バウダウン!!!危うくぶつかるところでしたがクジラも潜ってよけてくれました。
ホントに危機一髪。
サンフランシスコ~モントレー以来の至近距離での遭遇でした。
初島まで8マイルぐらいのところで風が東にシフトし(後ろに回り)スピン艇団がポールバックしながらゲインしていきます。我々もスピンチェンジを考えましたが不安定な風とフリートの中でのマニューバを考えタックライン/ツイーカーをコントロールしながら対応しそのままA1.5ジェネカーでアプローチ。
トップの2艇が初島を回航してアップウィンドで復路を走ってるのがみえる。「えーもう周ったのー!ということは案外初島のブランケは小さいな」と予測。俄然燃えてくる。
結果としてはラムラインより南側が伸びたようでスピン艇団に追いつかれる展開に。
初島ではBクラスの〈naonao carreraS〉〈JeRevies〉〈VEGA7〉〈KLC HORIZON6〉の順で4艇が至近距離で初島にとっつき初島南側のブランケットでジェネカーを回収。釣り船も多くここは勝負どころではないと判断したんたんと初島西側ウェイポイントへ。
10時頃初島灯台Mag0°ロールコール。スタートから3時間でかなりスムーズにやってきました。
さー後半戦のスタートです。
初島近辺、毎度のことながら伊豆半島のビックブランケット(アップウォッシュ)の影響で風弱いです。
ウェイポイント通過後北っ気の風の中ライバル艇と離れないように少し北側に出てタック。ポートタックのクローズホールドです。風が弱く潮流の影響で非常に波が悪く走らせにくいのでアウトホール/ジブインホール/ジブカーをコントロールしてパワフルに走れる努力をし必死にライバル艇に離されないように集中します。(ライバル艇はジェノアなのでパワフルです)
11時ごろ、風は無くなり周りに見えている艇はほとんど止まり始めました。チャンス到来です。所々パッチで弱いパフが風向も不安定に入ってきます。
人生で何回目のカームでしょう。。
海をみて雲の流れを見てチャートを見て自分のポジションを確認して、、周りを見ながら考えます。「真鶴半島方面には風がありますがここまで降りてくるか、行ってしまった風なのか??」「往路は後ろからずーと1ノット以上の潮をもらってやってきた。岸寄り(北寄り)の方が影響が弱いのでは?」などなど無い頭をフル回転。
そうこうしながらも絶対に船を止めてはいけません。
ボートスピードをキープしやすいアパレントウィンドアングルを〇〇°~〇〇°で集中しジブとメインを弱いパフの振れに合わせてトリムし続けます。どんどんリフトして逗子にヘディングが向いてきました。「お~いいね~」でも風は3ノットぐらいでボートスピードは1ノット台です。
「よしCord60をセットしよう!」(Flying Hedsail)
※Flying Hedsail:フライングヘッドセール ERS G.1.3(d)は適用しない。フォアステーの前方にタックを取り付けフライングで展開され、スピネーカーの定義を満たさないセールでバテンを持たない。フライングヘッドセールは、フット長さの 60%以上の 1/2 幅を持つ(スピネーカーとして計測)。フライングヘッドセールはSTLFHmaxを超えず、艇のほぼセンターライン上に、例外として申告された左右振り可能なバウスプリットの場合を除き、タックを取ることができる。フライングヘッドセールは完全にファールしてもよいが、レース中リーフすることはできない。
IRC2024_規則日本語訳v1ダウンロード | JSAF 外洋計測委員会
船内一番取り出しやすいところに置いておいたCord60を取り出し即ホイスト!ジブダウン!高さはありませんがボートスピードが2ノット台になりました。パフでは3ノットで走ります。よしよし!スルスルと同クラスから抜け出し大型艇集団まで追いつきました。ポジション的にビックゲイン!「先生ナイスです!」
ここでばったり風がなくなりセイルが波に揺られてバサバサ。。。。。OMG。
しかしこんなことも想定済。今度はウィンドシーカをトップホイストします。
するとどうでしょう。今までバサバサと揺れていたセイルが安定しセイルに風が流れるようになりました。そろりそろりと走り続けます。
後ろを見上げると伊豆半島に沿って低い雨雲の上に雲が出来ています。お、これはあと少しで入ってくるなとフォアデッキがとっ散らかっているので整理しながらジェネカーをセット。
そよっと西っ気が入ってきたので即ホイスト!
周りの艇はまだジブのままさまよっている。ここでさらにゲイン!
全体に風が広がり後方から10ノットを超える風が入ってくると大型艇にガンガン抜かれ始めます。
COG、SOGとTWDを確認しながらシフトに合わせてジャイブを刻み
16:13分になんと11着でフィニッシュ!
「先生お疲れ様でした!」
そして葉山新港にドックイン
速攻でレースモードから回航モードへモードチェンジ、ショアクルー、デリバリークルー総出で約一時間で完了、いつもながら素晴らしいチームワーク。
レース当日中に暫定結果がウェブにあがる。こちらもスピーディーな逗子マリーナヨットクラブ、素晴らしい。
そして、なんと今年もオーバーオールで1位ということがわかりガッツポーズ!
やったー!!
今回の勝因もやはり前夜のうな重(松)でしょうか。予約しておいたので食いっパグれなくてよかったーぁ、後のお客さんの分ありませんでしたから。笑
川正←おすすめです。
もとい
勝因は9時間集中力を持続した先生のドライビングとCord60/ウィンドシーカで止まることなく走り続けたことでしょう。
そしてどんなレースでも重要なのがレース準備と裏打ちされたセイリングテクニックです。
さー今月末はいよいよパールレースです。しっかり準備をしてカップ奪還に挑戦です。
初島ダブルハンドヨットレース 上位成績
勝手にオーバーオール
1位 Bクラス、KLCホライズン6(横山30R) 邨瀬愛彦/荒川海彦
2位 Fクラス、デイドリーム・ピーシーズVII(メルジェス32)渡部幸雄/都筑雅也
3位 Eクラス、ハルカ4(イタリア11.98)加藤利基/本吉夏樹
Aクラス(全14艇)
1位 チェントロ(ヤマハ25マイレディ)福島 望/鈴木祥郎
2位 Libertin(ヤマハ23II)坂口欣之/加藤雄一郎
3位 Mero♪y(ジャンゴ7.70)遠井洋文/伊藝徳雄
Bクラス(全11艇)
1位 KLCホライズン6(横山30R) 邨瀬愛彦/荒川海彦
2位 ジュリビアン(デュフォー334トロフィー)釜田博久/常見博明
3位 ベガ7(ファー1020)森田武志/岩村康次
Cクラス(全11艇)
1位 シャークX(ヴィッテ31FK)関根照久/鈴木 綾
2位 ハヤテ(シーム31 MK II +1)貝塚義浩/水原一樹
3位 ダンス7(ヤマハ30SN MOD) 原田八郎/山下昌良
Dクラス(全12艇)
1位 クアドロン(ヤマハ33S+1)中本広之/有本 完
2位 KAIENTAI(ヤマハ33S+1)林原秀樹/羽田雅一
3位 ラハイナ(ヤマハ33S)佐藤文昭/古市哲也
Eクラス(全11艇)
1位 ハルカ4(イタリア11.98)加藤利基/本吉夏樹
2位 チャーチャン(MAT1070)木原和喜/滝口裕樹
3位 ウインド・フェアリー(ファー30)榎本 裕/矢尾坂卓也
Fクラス(全12艇)
1位 デイドリーム・ピーシーズVII(メルジェス32)渡部幸雄/都筑雅也
2位 フォンティーヌ・ゼロ(J/111)小泉圭二/和田昌高
3位 アンディアーモIII(ファー36M MOD)野口哲雄/木原徳人
セイリングテクニック
【フネを止めないためには】
【カームにつかまったら】
【走り出すためにやるべきこと】
詳細テクニックは私がオンボードしたときにこっそりアドバイスしますね。(^_-)