644秒に泣いた パールレース2025

good memories

今回は全日本ミドルの流れでそのまま〈Aphros〉にてタクティシャン/セイルトリマーにて参戦。

今年はオープン参加の〈DMG MORI Global One〉IMOCA60、TP52から船齢50年の艇までバラエティーに富んだ顔ぶれがそろいました。特に40ftの速い艇が増えてますね。

ダブルハンドクラス3艇を合わせた41艇がエントリーしました。

年々参加艇数が減少傾向なのが気になりますが熱心なセイラーには根強い人気で毎年熱いバトルが繰り広げられます。

今年もレース当日のコンディションを気にしながらワッチしてました。(全日本ミドル中にもかかわらず笑)

キーポイントは東の太平洋高気圧、朝鮮半島付近の高気圧、そしてその気圧の谷、潮流をワッチ。

高気圧次第ではアップウィンドコンディションや無風、などいろんなシチュエーションが考えられましたがレース前日には”いつものパールレースらしいコンディション”となりました。

セイルチョイス

それぞれのレグの風速、風向、潮、波を想定しJ1、J2、SS、C60、A1.5、A2、A3をチョイス

もちろんコンピュータソフトをみれば一発でわかりますが我々は人間が最終判断してセイルチョイスします。

灼熱のスタート→神の島WP

J1、STBクローズホールド

スタート前、例年通り気温上昇とともにどんどん風が落ちてきました。

スタートライン近辺は潮流が複雑です。

神の島WPまではSTBロングでリフトするとクローズリーチとなります。さらに沖側の方が風が強いしWPまでも近いと判断しC60をプリセットしていつでもディプロイできるようにしておきSTBサイドのドローンブイ側から出ることに。

スタートは5ノットぐらいの微風と後ろからの潮流に細心の注意を払いドローンブイSTBレイラインでタックしてラインナップしポジショニング、メントリ達さんのすばらしいスピードコントロールでナイススタート!(毎年レイラインオーバーのところで大混戦模様 笑)(衝突の音もあちこちでちらほら聞こえます。。。)

も虚しく

photo by バルクヘッドマガジン

上1からスタートしてリコールした艇の影響を受けてなかなかスピードに伸び悩みそうこうしている間に大型艇軍団にずんどこ上突破されるなかなか厳しい展開。沖側のフレッシュな風を掴めそうにないのでC60はウィンデージと判断して下ろしスピード追求します。しばらく走ると南からの潮流の影響が強くなりますがパフが入りリフトするとWPに向くためにタックのタイミングが非常に難しかったです。

WP近くの暗礁付近に左からプレッシャーが入ってきたのでタック、潮に向かうのでアングルは良くないが傷口を最小限に抑えられた。

一つ上のBクラス集団とまずまずの順位で神の島WP回航。

photo by Ichisan

スピード勝負の神の島WP→御前崎沖

ビームリーチ

A1.5→A3

引き続き軽風なのでA1.5をチョイス。今回A0は下ろしてきたが風速が低すぎたのでA1.5でドンピシャ。

予報では時間経過とともに風速が上がり南西(後ろへ)に回る予報。40ft集団のけつを追いかけるラムラインキープのスピード競争。例年通り南からのうねりが走りを妨げる。

浜名湖沖付近から風速がコンスタントに10ktを超えてきてA1.5では時折メインがフラッピングしてスピードがドロップしラムラインをキープできなくなるため、事前にA3にピール。タイミング的にはバッチリでその後スピードアップしラムラインをキープ。

今年はチーム力の高いチームなので個人的な負担が少なくStar LinkでインターネットにつなげてTractracの情報を見ることが出来る。有力艇をワッチしつつ、いい感じで修正順位をキープできている。

いい感じ!!

photo by OTB

魔の御前崎沖 

A3

日没後、周りの航海灯をワッチしながらのナイトセイリングが続く

御前崎沖に差し掛かるとなんだか海面がすごく不安定。

おそらく懸念していた黒潮の反流による複雑な波でそれに伴い風向風速が不安定。こねくり回されながらのセイリング。

Tractracをみると我々だけが遅れている!4マイル沖側レーン、2マイル陸側レーンともに普通に走っている!

「まずいどうにかしなくては!」ワッチのタイミングでヘルム交代

状況を打開するためヘッドアップして走りしばらくするとすぐに風が戻ってきた。あのスポットは何だったんだ?あの30分をもっと早く気付くべきでした。

御前崎沖→利島 トラウマの4時間

ビームリーチ、ブロードリーチ

A3→A2

風は戻ってきたものの相変わらず波が悪く33ftでは波にこねくり回されます。仕方ないのでヘッドアップして最低でもボートスピード6ktはキープできるように走らせます。

御前崎沖のトラウマもありVMGより落とすことが怖くなっていました。

予報通り風が後ろに回りつつ、伊豆半島に向けて流れる強烈な潮を横から受けるのを避けるため南側からアプローチします。ここでA2にピール。

しかし、新島の影響でヘダーが続き風が不安定になりジャイブポイントを探るのが難しくなりましたが単発のシフトバックで後ろに回ったパフを利用してPORTタックへジャイブ、北上。

またまたシフトしSTBへジャイブバック。利島にアプローチします。島々の影響で潮流が複雑になってきました。特に利島、鵜渡根、新島の間は半端く海をみると気持ち悪いぐらい流れています。

結果的にはこの利島へのアプローチに失敗。先行艇団には行かれ、後続艇団に抜かれ。。。

最終アプローチで気をとりなおし次のレグへとつなげます。

photo gy Ichisan

利島→大島 千波埼沖のアリ地獄

ビームリーチ、リーチング、ビームリーチ

A2→C60→A1.5

さあ、まだまだこれから!先行艇団には10マイル離されましたが気をとりなおして北上します。

利島から大島レグもセオリー通りのコース。

おやおや、千波のアリ地獄にはまっている艇がみえます。

このポイントは大島のアップウォッシュと潮流の影響で入ったら出てこられません。近づいてはいけないポイントです。風のラインをみながら絶妙なタイミングでA2からC60へピール。一気に北上し高速道路に乗る手前でA1.5をホイスト、風も安定し順調に風早を越えました。

photo by バルクヘッドマガジン

大島→江の島 ラスト30マイルで逆転を狙う

A1.5→A2

さあ、泣いても笑っても最後の30マイルです。

逆転するためにはここで挽回するしかありません。優勝するには30分近く縮める必要があります。

風も段階的にアップ、フィニッシュの江の島に向けてマキシマムサイズのA2へチェンジ。

風の入り方、COGとシフトをみながら最後まで可能性を信じてアグレッシブなセイリングで猛追します。ラスト10マイルからはTWS24ktを超えてきました!バンバンサーフィング!

利島アプローチから(責任を感じて涙)グローブ無しでずーっとジェネカーをトリムしているのでお手々痛いです。

江の島、スナイプのレースを確認しフィニッシュアプローチ!

猛追及ばず。。。。

総合3位に終わりました。。総合優勝までは644秒差。。。

2位には11秒差。。。頭の中を一気に「たら、れば」が駆け巡ります。

魔の御前崎沖、利島アプローチ。。。

出直してきます。

photo by バルクヘッドマガジン

優勝は最近メキメキと力をつけてきているHARUKA 4です。おめでとうございます!

定期的にセイルメーカーやプロコーチが来て練習に励んでるようで実力と練習量、またレースへのアプローチともにチャンピオンに相応しいと思います。ますますのご活躍を期待しております。

最終結果

25時間59分29秒!

総合3位 C-クラス 優勝!

レースで勝てなくて悔しくても不思議と心が清らかになるパールレース。

今年も大いにパールレースを満喫しました、皆さんはいかがでしたか?

来年は若女将の下、強化合宿!

え?スタート地変わるんですか?

成績

IRC総合

優勝 〈HARUKA4〉(ITALIA 11.98)セカンダリー証書

準優勝 〈NOFUZO〉(SYDNEY GTS43 MOD)

3位  〈APHROS〉(Ker33)セカンダリー証書

ファーストホーム
〈MONDAY Night〉(TP52)

A クラス

1位 〈NOFUZO〉(SYDNEY GTS43 MOD)
2位 〈CRESCENTⅥ〉(J121)
3位 〈MONDAY Night〉(TP52)

B クラス

1位 〈HARUKA4〉(ITALIA 11.98)セカンダリー証書
2位 〈ANDIAMOIII〉(FARR36M)
3位 〈CONSTELLATION〉(IMX40)

C クラス
1位 〈APHROS〉(Ker33)セカンダリー証書
2位 〈VOGUE〉(JND36)
3位 〈VEGA8〉(XP33) 

Dクラス 
1位 〈TRAVIES〉(A31)
2位 〈TWENKLE STAR〉(SYDNEY32)
3位 〈DANCING BEANSⅢ〉(SEAM31) 

ダブルハンドクラス

1位 〈KLC HORIZON9〉(Sun Fast 30OD)
2位 〈Sunnyside Cruise 〉(Hanse 315)
3位 〈TAM〉(A40)

番外編

アフロス夏の陣、全日本ミドル/パールレースとタイトな回航、ボートキープを完璧にこなしたボートキャプテン

今年の夏のすーぱーひーろー ミスターくらぁた

photo by Ichisan
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