すっかり一週間以上たってしまいましたがKYC Spring Regatta IRCクラスを思い出しながらレポートを書きたいと思います。
今年のKYC Spring Regattaは3/18から3/19の二日間で参加艇5艇で4レース行われました。
参加チームは、関西の名門SWING、多数の国内トップセイラーが乗り込むSLED、若武者集団SORI、そして昨年の覇者MART SPIRITのHPR40クラスが4艇と46ftのオフショアボートT DRACONISの5艇が参加。
IRCクラスというかHPR40クラスというバチバチのグランプリクラスとなりました。
どのチームもオフシーズンの間にしっかりとメンテナンスや改造を施しシーズンインのKYC Spring Regattaに照準を絞りテストセイリング/準備してきました。
初日 第一レース
Race : 1Race
Course Length : 5.6 miles Wind Angle : 30 deg to 50 deg Start 2023/3/18 11:05:00
Class : IRC ENDORSED Wind Speed : 9.0 kt to 14.0 kt
朝から雨が降り気温も低くどんよりムードでしたがスタート前までにはすっかり雨も上がり北風のシフティー/ガスティーなコンディションで始まりました。
IRCクラスはホワイトクラスの5分後のスタートとなるためスタートラインの長さは随分と余裕があります。そのため本部船側とアウターマーク側では風の入り方が違うというトリッキーな感じで有利サイドを見極めるのが非常に難しいです。またスタートライン付近と上マーク付近の風軸も違うためタクテシャン久留ちゃんは大変です。
SORIがメインセイルアップの際にメンハリのソフトシャックルが外れてハリヤードが抜けてしまうというアクシデントがありスタートは4艇と少しさびしい感じでした。
スタートは本部船側有利でしたが一文字防波堤(以下、一文字)付近の曲げられて入ってくる風を一番先に拾えるようにフリートの一番下側からスタート。
予想通りのシフトで返してポートタックに。レグの残りもポートロングに。
我々の前方でSLEDがカバー、フレッシュウィンドを掴むためにツータック。
そのまま、上マークを2位で回航。
SLEDの素晴らしいホイストで少し離される。我々は最初のパフの切れ目でジャイブして内側へ
STBレイライン手前でジャイブして下マークへいいスピードでアプローチ、下マークゾーン手前でSLEDとミートで届かず、SLEDはレイラインに乗っておらずスルーして外側でジャイブ。
SLEDはレイラインのジレンマゾーンでテイクダウンしてスピードロス。きれいに真後ろで回航しようと考えてましたがオーバーラップしてしまったため外側を回航。
ここから上手く風をとらえることができずシフトのリズムに乗れずにタックの回数が増えてしまい2上ではSWINGにも抜かれてしまい3位回航。そのままフィニッシュラインまで接戦で流れ込み5秒差で3位となりました。
続く第二レース
Race : 2Race
Course Length : 5.2 miles Wind Angle : 15 deg to 35 deg Start 2023/3/18 12:30:00
Class : IRC ENDORSED Wind Speed : 8.0 kt to 13.0 kt
若干風速レンジは落ちつつも第一レースよりも不安定に。
ますます難しい風になりますが、一レース目の反省を生かしシンプルに考えるように修正。
スタートはアウター側からSLED、MART SPIRIT、SWING、T DRACONISの位置関係で全艇ジャストスタート。フリートは一文字にめがけてスピード競争。絶対に走り負けられない戦いがはじまる、左から風が入ってくるのでここで負けるとほぼ挽回できない。パフはヘダーで入ってくるので上り殺されないようにピンチングモード、風速が落ちると風向がわずかにリフトするのでドライブモード気味かつ高さを復活させるべく微妙なトリミング、ステアリング。とにかくスピードを落とさないように集中。
Maxヘダー時のレイラインを見極めるのがとても難易度が高い。足りないとポートタックでのリフトの風に届かないし、行き過ぎるとオーバーセールとなる。タクテシャンのタッキングポイントがとても重要である。
一番先に動いたのはSWING。それをみて我々は若干アンダーレイでタックしてポートタックに。SLEDもほぼ同時にタック。今度はポートタックでのスピード競争。
パフが入ると上マークは目の前にみえるがラルったらまだSTBのレグが残される。
ここでの走らせ方としては風をよく見ながらできるだけ長い時間風の中を走れるようにスピードと高さをコントロール。
上マークはテールtoノーズでSLED、MART SPIRIT、SWINGの順で回航。
ホイスト&セットはやはりSLEDが断然早い!フリート内で最もサイズの大きいプライマリーウィンチと優秀なグラインダーが威力を発揮!もちろんスニークのテクニックも見逃せない。
上マーク回航3艇身後にはフルホイスト&セット&ジブダウン、ステイスルホイストそして5艇身後にはステイスルが開いている。後ろで見ていても勉強になります。
ほれぼれしている場合ではありませんw
次のパフでSLEDとセイムタイムジャイブ!
タイミング的には完璧でセイルオーバーできると思ったがジェネカーセットのタイミングが2テンポぐらい遅くキャッチできない(相手をシャドウに入れる前に逃してしまった)
仕方なくハイモードで走りなんとかセイルオーバー。
(ハイモードで走ると後続艇に追いつかれる。。)
そして先にSLEDがジャイブ。
ダウンウィンドの展開は一レース目と同じでしたが運よく下マーク前のミートで前を切り先行してレイラインでジャイブ。そのままきれいにトップ回航して2上へ。
ますます不安定な風に翻弄されながらタイトカバーとルーズカバーを使い分けてなんとかトップを死守。
風速レンジが大きく落ちだしたので上マーク手前でトリマー高野さんからミッドバウ塚田に「時間的にセイルチェンジ間に合うか?」と相談。ミッドバウ塚田は上マークの位置と距離を確認して「ノーストリンガーだったらなんとか間に合います」と即答。
(ノーストリンガーとはストリンガーラインをセットしないこと。下マーク回航がないファイナルダウンウィンドでは有効)
急遽ジェネカーをA1.5からA1にチェンジ。
かなりぎりぎりのタイミング(セイルチェンジのチェンジコールの設定時間の半分の時間)でしたがなんとか間に合いホイスト!
ナイスミッドバウ塚田! 引き続きテールtoノーズ!
しかし!シートとタックラインの通し方がおかしくジャイブできない状態に。
(ジェネカーシートシーブからシートブロックの間はアンダーデッキ)
レグはSTBロング。真後ろにはSLED!我々はステイスルを上げていないのですぐに追いつかれる。
レグ的にできれば上側にオーバーラップしてもらいたいなと少しローモードにしたらSLEDが真後ろでジャイブ。
フリーで走れるようになりすぐさまバウマン小倉をジェネカーのクリューまでホイストしてシートを通しなおす。
クリアになりステイスルをホイスト!そしてアンダーレイでジャイブしてポートタックへ!
思ったより風も続いてくれてぎりぎりでSLEDの前を通過。
そしてフィニッシュライン本部船側のレイラインでジャイブ、フィニッシュライン間際のポートスターボとゾーンでSLEDが直前でジャイブ!オーバーラップしながらなだれ込むようにフィニッシュ!
一秒差でトップを死守!(修正では15秒)
なんとSLEDとSWINGの修正タイムが同秒で両艇のポイントが2.5点!なんともしびれるレースでした。
そして幻の第三レース
なんとSORIがトラブルを解消してレースに戻ってきた。
やっと5艇でのスタート!
しかしスタートするもさらに不安定になり風も弱くなり。。
上マークをT DRACONIS、MART SPIRIT、SLEDの順で回った時点でノーレース。。。なんだかな。。。
明日へと延期になりました。
初日の成績
一位 SLED 3.5点
二位 MART SPIRIT 4点
三位 SWING 4.5点
四位 T DRACONIS 8点
五位 SORI 12点
最終日 第三レース
Race : 3Race
Course Length : 5.2 miles Wind Angle : 220 deg to 235 deg Start 2023/3/19 11:20:00
Class : IRC ENDORSED Wind Speed : 6.0 kt to 10.0 kt
最終日のスタート予定時刻は前日より30分早い10:30予告信号でしたが朝の北風はすぐに弱くなるのでシーブリーズが入ってくるまで陸上で風待ち。このあたりは新しいKYC事務局長の伊藤さんはベテランセイラーでレースをよく理解されているのでさすがの判断です。
予想よりも早くしっかりとシーブリーズが入ってきたのでドックアウト!
スタート前のルーティンワークをこなしレースに集中します。
5艇でのスタートマニューバ、タクテシャン久留ちゃんは右海面に行きたいからカミイチで出てとリクエストがありました。スタート30秒前まではカミイチで出ようかとポジショニングしましたが、二つ下側にいるSWINGにコントロールされる位置になるので大きくバウダウン加速してSWINGとSORIの間に入りフルスピードでスタート!
いつものスピード競争が始まりますがメントリ森田、トリマー高野さんとランナー岩ちゃんのトリミングそしてクルーのウェイトバランスがマッチして気持ちよく走り上マークからフィニッシュまでトップを死守。
しかし最小レーティングでノーマークのSORIが最後のダウンウィンドで得意の南の一本コースでビックゲイン。なんと修正4秒差で2位となる!
ん~くやしい。。
続く第四レース
Race : 4Race
Course Length : 5.6 miles Wind Angle : 240 deg to 255 deg Start 2023/3/19 12:55:00
Class : IRC ENDORSED Wind Speed : 8.0 kt to 11.0 kt
SWINGが素晴らしいスタートでフリートをリード。
対する我々はスタートのウェイティング位置が高く加速するスペースがなく少し出遅れた感じになったがメントリ森田、トリマー高野さんとランナー岩ちゃんのトリミングそしてクルーのウェイトバランスがマッチしてなんとか耐え抜き2位をキープして上マーク回航。
SWING、MART SPIRIT、SORI、SLEDの順で上マーク回航。
SLEDはセットアンドジャイブで内側に。
しばらく走りライトプレッシャーで我々もジャイブ。それぞれワンテンポ遅れながらSWINGもジャイブ、SORIもジャイブ。
ベアリングでSLED、MART SPIRIT、SWING、SORI、の順にゲインしていく。
下マークへのアプローチでレイラインでジャイブする予定でしたがわずかにSLEDのシャドウを感じていたためアンダーレイでジャイブ。
結果的にはあとあとこのジャイブポイントが悪く下マーク手前でジャイブ、オーバーラップしてしまったのでルームを与えることに。。ここから大きく崩れることになってしまいました。
下マーク回航では先行するホワイトクラスのシャドウを喰らい、タックの数が増えてシフト/パフを逃していく悪いパターンとなってしまいました。
悪い流れは払拭できず2上のジェネカーホイストもクリューとヘッドが絡まり失敗。。
最後は課題を残す形でシリーズを終えました。
最終成績
優勝 SWING 8.5点
二位 SLED 9.5点
三位 MART SPIRIT 10点
四位 SORI 16点
五位 T DRACONIS 18点
今回は昨年のHPRチャンピオンシップ以来のタイトなレースが続き非常にエキサイティングなレースの連続でめちゃくちゃ楽しいレースでした。
現時点ではまだまだどのチームも粗削りなので横一線といった感じです。今後の練習次第で大きく変わってくるでしょう!
今から今年の夏がとても楽しみです。
優勝されたSWINGチームのみなさん、おめでとうございます!
おまけ
2022年 KYCポイントレース IRCクラス優勝!