第65回目となる大阪湾一周オーバナイトレースが7艇と少数精鋭ながら開催されました。
コースは西宮スタート-淡路島洲本沖ブイ-西宮フィニッシュの約60マイル。大阪湾は本船の交通量が多く帆走禁止区域、明石海峡の流れ、友が島水道の流れ、反流、地形によるブランケットなどなど、毎年攻略が難しくコースプランの決定には頭を悩ませます。

今回の予報は北西の微風からはじまり21時頃に20ノット程度の風が吹きその後、西に回りながら落ちていくという予報でした。
スタートは19時、ドックアウト18時の時点では10ノットぐらいの風でスタート。
6ノットぐらいまで弱くなってきました。
おやおや?予報より弱いぞ?どんな展開になるのか楽しみです。

Jib TopかAセイルか悩みどころですが風速も落ちていたのでスタートしてジェネカーA1.5を上げてギリギリで一文字西側の赤灯台を交わせそうです。しかし風が不安定で前にシフトしたため一文字西側の赤灯台手前でジェネカーをドロップして交わすまでSTBリーチング。
万博の花火に見送られながら再びジェネカーホイスト。

神戸六甲アイランド東水路中央浮標までツージャイブ。Jib Topをホイストしジェネカーをテイクダウン。
回航後、淡路島洲本沖ブイに向かいます。まずは友が島水道の潮流を考慮し洲本までのアプローチや網の東側を通るためにヘディングを向けます。ヘディングを合わせつつJib Top(以下JT)のシェイプバランスをメインのシェイプ/パワーバランスに合わせトリミング。ツイーカーを効かせて早くもいいポイントが見つかりました。さすがNorthSails高野氏、メントリ久留ちゃんとの息もぴったりです。
風はそこまで強くなく15ノット前後で安定します。BSも10ノット台で安定。リーチングでもステアリングはそこまで重たくなくストレスフリーです。
大阪湾のどでかい網(艇長会議では揚げられてるのでは?未確認)を回避するために今回初ナビゲーターの真美ちゃんは目視とチャート上でワッチしながら前方にフラッシュするブイをめがけてコースをとります。ポイント付近、そしてポイントを超えてもやっぱり網はない。あのフラッシュは何だ?
なんちゃらないあれは友が島水道の入り口にある洲本沖浮標でした。。
洲本沖ブイまで数度ヘッドアップ。このころから風速も20ノットを超え始め波も悪くなってきた。
メインのフラッピングにあわせてランナーテンションアップとJTトリムでBS15ノットを超えてきた。かなりいい感じです。
と思った次の瞬間、「ザブン」と背中から大波を喰らいジャケットの内側まで水が入ってきた!大失態!パンツまでぐっしょり。。
テンションダダ下がり笑
気を取り直し
洲本沖ブイまで3マイル。そろそろ見えてもいいころなんだけどな~
今年も洲本港の防波堤灯台や町明かりや信号機、車のライトやテールランプなどに惑わされる。
淡路島に近づくと風も不安定なのでドライブチームはボートスピードに集中しマーク確認は他のクルーに任せる。
あと2マイルぐらいのところで岩ちゃんが洲本沖ブイと浜風を発見!
よし!あそこへめがけてフルスピード!
予想通り淡路島のブランケットで風速は弱くなってきた。
STBリーチングで洲本沖ブイへアプローチ。
復路の段取りに入る、A0やな!
22:03:39 洲本沖ブイ回航
ジャイブで今度は神戸六甲アイランド東水路中央浮標に向ける。
JTで様子見ながらA0ホイスト準備にかかる。
今回のフォアデッキチームはベテラン林さんと若手で成長著しい太朗とのコンビで経験不足も林さんがそれをカバーとなんとも微笑ましいやりとり。
ミッドナイトなので時間をかけてダブルチェックでホイスト。
するとさっきの強烈なパフが入ってきた。ん~A0で行けるかな?ちょっと迷いますが風も少しずつ後ろへ回ってきたのでA0ディプロイ!スマッシング!
スピードも上がり快調に走り出す。網がないことを確認したので復路はちょっかりで神戸六甲アイランド東水路中央浮標にカッとびます。おなかが空いたので腹ごしらえ。おにぎりとサンドウィッチじゃ味気ない。なんかほかにねーの?おやおや海翔が弱ってる。どうした?「寒いです」体調悪そうな海翔を見てみんな優しく接していたのが印象的。あと少しだからがんばれ!「ハイっ」ということでレースに集中します。
今回グラインダーはNobuさん、助っ人の碓井くんがチームを組みA0トリムに集中しボートスピードに貢献。
明石海峡大橋の方から西っ気の風が入り始め風速は落ち傾向だがまだA0でいけそうだ。
しかしそうこうしている間にどんどん落ちてきた。
なんとかこのまま行けそうだ。
神戸六甲アイランド東水路中央浮標回航、J1.5で一文字西側の赤灯台をかわしさらに風速は弱くなりましたが
1:13:49にフィニッシュ!

今回もコンデイションよくファーストホーム&優勝となりました。
所要時間6:13:49、なんとコースレコードだそうです!
やったー!

リーチングセイルの重要性
今回コースレコードに成功できたのはJib Topの功績が大きいです。
大体12ノットのリーチングから威力を発揮しますがレンジが狭いので持っていても使う機会はなかなかないかもしれませんが逆にディスタンスレースやロングレースをやるチームには必需品です。
Jib外取りか?JTか?
判断基準は風速とアングルによります。
多くの場合12ノットアンダーではジブ外取り、12ノットオーバーではJTの威力を発揮し始めます。
セイルのキャンバーやクリューハイトの関係でメインセイルに圧倒的にスムーズに風が流れスピードアップにつながります。この件は次の機会にじっくり話せればと思います。
大阪湾一周レースの成績は、往路、往復路の合計の成績となり、
優勝 Mart spirit(1-1、carkeek40GP)
第2位 AMANDA (4-2、Melges 24)
第3位 TAM (3-3、A40)
となりました。
運営されたKYCの皆様、夜通しのワッチ大変だったと思います。そして参加された皆様、お疲れ様でした!ありがとうございました!
大阪湾レース 情報元 中野 誠
大会 年 日付 優勝艇 オーナー
1 1975 (9/11-12) グリーンパワー(大浦 光男)
2 1976 (3/20-21) ランスルーⅢ (松本 明)
3 1977 (3/18-19) ブルームスティックⅢ (増村 幸夫)
4 1978 春(3/18-19) ポイントゲッター( 西浦 稔)
5 1978 秋(11/18-19) 四サムライ (山村 彰)
6 1979 春(3/17-18) コテルテル2 (山口 照雄)
7 1979 秋(11/3-4) トーゴⅥ (山田 東吾)
8 1980 春(3/22-23) バイバイチャッピー (吉村 一平)
9 1980 秋(11/8-9) ブロンコⅡ (堀内 恒夫)
10 1981 春(3-20-21) ミッドナイトフラワー (田中 良三)
11 1981 秋(11/14-15) コテルテルⅡ (山口 照雄)
12 1982 春(3/20-21) トーゴⅦ (山田 東吾)
13 1982 秋(11/ 6-7) クリスチーヌⅦ (朝日放送(株))
14 1983 春(3/19-20) 青波行 (原 均)
15 1983 秋(11/10-11) ミスターグーフィー (玉井 学)
16 1984 春(3/20-21) 青波行 (原 均)
17 1984 秋(11/24-25) カザ7 (深見 祐二)
18 1985 春(3/24-25) カザ7 (深見 祐二)
19 1985 秋(11/24-25) 青波行 (原 均)
20 1986 春(3/22-23) ウィル (小田 良司)
21 1986 秋(11/23-24) 青波行 (原 均)
22 1987 春(3/20-21) インプレッション (三木 明)
23 1987 秋(11/22-23) 青波行 (原 均)
24 1988 春(3/19-20) トーゴⅩ (山田 東吾)
25 1988 秋(11/19-29) ブルーサンシャイン (皆川 秀夫)
26 1989 春(4/29-30) 六兵衛 (森本倉庫(株))
27 1989 秋(9/23-24) サチⅢ (福原 幸洋)
28 1990 春 ノーレース
29 1990 秋(9/8-9) サチⅢ (福原 幸洋)
30 1991 春(6/8-9) ノーレース
31 1991 秋(9/22-23) チャチャ (山村 彰)
32 1992 (6/6-7) カリーニョ8 (古川 浩二)
33 1993 (6/5-6) スイングベッカン (鈴木 重行)
34 1994 (6/18-19) スイング (鈴木 重行)
35 1995 (6/17-18)スイング (鈴木 重行)
36 1996 (6/15-16) ノーレース
37 1997 (6/14/15) タック (小出 拓巳)
38 1998 (6/13-14) ドンキー (土井 収二)
39 1999 (6/12-13) サマーガールJr (馬場 益弘)
40 2000 (6/3-4) 右近 (坂上 一幸)
41 2001 (6/9-10) ゴリラ (松室 八郎)
42 2002 (5/25-26) スイング (鈴木 重行)
43 2003 (6/8-9) フェアーウインド (己斐 健一)
44 2004 (6/5-6) サマーボーイ (辰井 栄一郎)
45 2005 (6/4-5) サマーガール (馬場 益弘)
46 2006 (6/3-4) ミッキー (清水 英明)
47 2007 (6/2-3) カリーニョ (古川 浩二)
48 2008 (6/7-8) ワイレア (濱口 仁)
49 2009 (6/6-7) スエコ (今村 吉男)
50 2010 (6/5-6) サマーガール (馬場 益弘)
51 2011 (6/4-5) スイング (鈴木 啓介)
52 2012 (6/2-3) クラリスフォルテ (中野 誠)
53 2013 (6/1-2) ラパンブルー (半田 齊)
54 2014 (5/31-6/1) ABC (吉田 哲郎)
55 2015 (6/6-7) タム (為広 慎二)
56 2016 (6/11-12) タウドラコニス (池田 廣重)
57 2017 (6/10-11) リンクワークス (神戸大学)
58 2018 (6/2-3) キネキネ (小林 広典)
59 2019 (6/1-2) キネキネ (小林 広典)
60 2020 (6/6-7) カウラ (川谷 芳郎)
61 2021 (6/5-6) カウラ (川谷 芳郎)
62 2022 (6/4-5) アマンダ (安藤 慎)
63 2023 (6/3-4) 赤兎 (後藤 憲治)
64 2024 (6/1-2) マアトスピリット (土井 良太)
65 2025 (5/31-6/1) マアトスピリット (土井 良太)
