今回は実際のレースをどう走ったのかをお伝えします。
レース当日の朝は慌ただしくなりますので、すべて前日までに段取りをして下ろすものをまとめておきます。ここでバタバタしたらレースでは勝てません。
ドックアウトまでに気象予報を確認し、セイルチョイスと艤装品、飲食料を最終決定します。
チームで記念撮影をしたらいよいよスタートエリアへ。
スタート前のルーティンを一通り行いレースに集中できるように準備。
例年通りどんどん風が落ちてきました。
スタートライン近辺は潮流の方向も風向も違うし迷いました、さらにスタート前に西からパフがそよっと下りてきたので本部船有利なスタートラインとなったためアウター寄りから出るのをやめてライン中央付近までポジションを変えましたがスタート前2分ぐらいでパフが消えてしまいました。。
スタートラインに対して低い位置のままスタート!
ほぼ無風。
ウィンドシーカかA0の選択に迷いましたが東からの潮流があるためにA0をチョイス。
じりじりとフリートから抜け出しどんどん風が前にシフトしてきたのでジブにチェンジ。
神の島WPまで苦手な微風アップウィンドが始まる。
どんどん大型艇や中型艇に抜かれながらベストパフォーマンス、ベストコースが引けるように集中!
神の島WPまで2時間40分の苦手な微風アップウィンド。
回航時も風速弱く。。先行艇は霞んで見えない。。
微風の灼熱地獄で水分補給が追いつかない。
回航とともに中型艇が上側にいるので離れるためにA0をホイスト高さはキープできないが前には出れたので即ファーリング。ジブアップ!
Dクラスのライバル艇をワッチしながらフリートに対しての利島までのポジションはキープ。
微風のスピード競争が始まる。
船足が伸びないのでラムラインキープよりもスピード優先で次のシフトのタイミング(夕方-夜-深夜-朝)を伺う。
日没後に安定した西風が入りはじめたので睡眠に入りました。
駿河湾沖で波が悪くてチャイニーズ!(ブローチング)
「海彦さんっ!」起こされてスピンを回収!(ダブルハンド日本選手権後に大幅な軽量化)
とりあえず夜なので観音張り、安全策。
空が白けてきて艇とマストの破損状況を確認。
スピンポールのパロットビークが曲がったがなんとか使える。
しかしインボードカーが破損、ダイニーマの細引でラッシングして応急処置。
マストヘッドスピンをホイスト。
利島アプローチでもまたまたブローチング!
シンプルなブローチングだったので艇も壊れずすぐに復旧。一安心。
3マイル手間でさらに波が悪くてスピンは早めにテイクダウン、ここは安全策。
吹き下ろしで30ノット。回航後のハードリーチングに備えて島影でメイン、ジブ共にワンポン。
大島までもウィスカーポールでアウトサイドシートが効いてるのでシバーすることなくしっかりメインも効いて食らいつく。ジブが「袋」にならない分メインが適正にトリムできるので抜群です。
まだトップ艇がフィニッシュしてないとの情報、風早沖からたくさんの先行艇を確認。
心踊る。
我々は利島にアプローチするまでは総合優勝は厳しいと思っていてクラス優勝を狙ってましたが
利島回航後にトップ艇がフィニッシュしていないことを知り先行艇が失速している情報を得て総合優勝の可能性を知ってから猛チャージをかけました。
そして総合優勝を争うライバルはなんとアフロス!
私が今年からコーチングさせていただいてるチームです。。。
風も20ノットを切ってきたのでメンジブ共にワンポン解除、船内荷物も前へ移動。
マストヘッドスピンをホイスト。
ポールバックアンヒール。TWA173-178°
とりあえずcogで江ノ島に近いポートタックを走る。
伊豆半島寄りの南西風は引いていくのが見えて大島東側から南風が下りてくるのが確認できたのでCOGで近いタックよりも南西風が10ノット切ったらジャイブしてヘディンが90°以上になっても南風を取りに行くことを決めました。
そしてお気に入りのノースのジェネカーにチェンジ。
相模湾内は風が弱そうなので丁寧にスケーティングしながら風を拾うモードに切り替える。
思ったより早く新しい南風が入ってきてマストヘッドスピンにチェンジ。
ポールバックアンヒール、西に行くと風からはずれるので風の中に長くいられるようにジャイブを繰り返す。
いきなり一瞬どーんっと入ったパフでチャイニーズ!(おいおい、頼みますよw)
回収して今度は安全策を考慮しフラクショナルスピンをホイスト。
やはり艇速が伸びないのですぐさまマストヘッドスピンを再ホイスト。
あとはフィニッシュまでブローの中から外れないように走りました。
伊豆半島寄りからアプローチしてきた艇に対してはだいぶゲインしましたが。
もうアフロスの状況が気になって仕方ない。
それに今までに味わったことのない複雑な心境に苦しめられる。
アフロスの優勝?ホライズンの優勝?どっちが正しいのか?葛藤が始まるw
心の中のブラック海彦が「ノブさんはまだ若いからいくらでもチャンスはあるじゃん」と呟く。
トリムに集中できない時間が続いたがやっぱり自分が乗ってる船が勝った方がいいということに決め最後までベストをつくすことに。
江の島沖の網、スナイプのレース海面を避けながら
13:10にフィニッシュしました。
今回は先行艇が止まっていたので運が良くて勝つことができました。
利島回ってからはアフロスが優勝すると思ってました。
ただ、どのチームに対しても誇れることは100%妥協しないレース準備と高いレベルでの持続的なSAILFASTの実現、適切なタイミングでのジャイブやセイルチェンジ、セイルチェンジのロスの少なさだと思います。
KLC Horizon6にとっては総合優勝4回で最多回数です。
私は3回の総合優勝を掴むことができました。
個人的にはいつもロングレースに一緒に乗っていた天国にいる高木裕さんにいい報告ができてとても安心しております。
最後に邨瀬愛彦オーナーのオーナシップがあってこその今回の総合優勝だと思います。
ショアクルー、デリバリークルーを含めたチームKLC Horizon6の皆様、総合優勝おめでとうございます。
ありがとうございました。
暑かったパールレース、楽しかったパールレース、悔しかったパールレース、恐い思いをしたパールレース。
さて、来年はどんなパールレースになるでしょうか?